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第4章  表現力(コミュニケーション力)の向上

テーマ 1:音色

 自分だけの魅力的な「音色」が欲しいなら、その欲しい「音色」=自分のイメージ
 「聴きたい音」そのものを最初に描くこと・持つことが、「納得できる音」=「欲しい音色」になるのです。
 
 自分の発する音の中には様々な音色が含まれています・潜んでいます。
 自分の音が好きになれない人は、自分が「イメージする音」=自分で「聴きたい音」を
 自分が発した音の中から選択していない、「聴こえていない」(=「聴き取れる耳」がない)だけなのです。


 「音」は、悲しい時は悲しい音・楽しい時は楽しい音・怒った時は怒った音、というように
 自分の意志とは関係なく状況に応じて変化してしまうこともあります。
 自分の発する音の中には自分が「聴きたい音」がきっとあるはずなのです。

 であるならば、自分で「聴きたい音」・「欲しい音」をイメージして発音すれば、
 そしてその発音した自分の音を「自分の耳」で聴くことで「聴ける耳」になれるのです。
 ひたすら自分の発する音・聴こえている音の中に、自分の「聴きたい音」を聴こうとすることができることにより、
 「聴きたい音」=「欲しい音色」が「聴こえる」ことになるのです。
 
 表現力を向上させる上での「音色」は、自分のイメージする「聴きたい音」「欲しい音」を
 「外の耳」=「耳ヂカラ」で選択できるか否かが重要なことなのです。


 自分の発した音の中に、
 「聴きたい音」が「聴こえる耳」で聴こえてくるように
 =「聴こうとすれば、きっと聴こえる」
 =「自分の音色」
 と言うことを理解しておきましょう。

2:強弱

 強弱とは音の大きい小さいと言うことで、字のように強い弱い音ではないことを最初に確認しておいてください。
 音量の変化を無理矢理自分の意志で大きくしたり、小さくしたり演出し過ぎないことが大切です。

 自分の発した「音」を、「聴こえている耳」=「外の耳」を使い、聴こえている音の音量が、
 少しずつでも変化してくれたら嬉しい・変わって聴こえたら嬉しい、そんな気持ちで「外のてき」の変化を
 「外の耳」=「耳ヂカラ」で聴けることなのです。

 再度確認しておくべき点は、強弱は「音」を無理矢理表現・演出しないこと、
 音量の変化そのものを聴けること、欲しがること(演出は次の抑揚で解説)なのです。

 「外の耳」が強弱=(音量の大きい・小さい)を「聴こえる音」として捉えるのです。
 焦らずゆったりとした気持ちで「音」の大小=強弱を練習してください。
 

効果的練習:
  1:一息を使い「好きな一音・出し易い一音」を同じ音量で吹ききる。
     同じ音量で吹ききれることにより、音量の変化=息の量の変化ができることに結びつく。
  2:一息を使い「好きな一音・出し易い一音」を同じ音量で吹ききる、
    この時最初の音量から少しずつ大きい音を「耳ヂカラ」で変化を欲しがること
      =結果音量が大きく聴こえてくることを感じ取る。
  3:一息を使い「好きな一音・出し易い一音」を同じ音量で吹ききる。
    この時最初の音量から少しずつ小さい音を「耳ヂカラ」で変化を欲しがること
      =結果音量が小きく聴こえてくることを感じ取る。
  4:応用として、「蚊」が耳元に飛んで来る時の距離感=近づいたり遠のいたり、を
    息使いで表現してみる練習(≒実音Hの音)、これは2:3の応用なのです。


3:テンポ 

 テンポについての解説は、「タンギング」を基本に考えてみます。

 速い曲でのタンギングは、およそ1秒間に8回舌を動かしますが、
 ゆっくりした曲でタンギングを1秒間に1回舌を動かす場合と、実は舌が動く1回の速さは「同じ速さ」なのです。
 舌を動かす速さ4分音符=16分音符ということを確実に理解しておいてください。

 音符の種類が違っても舌を動かす速さは同じとしたら、あなたはどちらの音符で「タンギングを練習」しますか?
 上手くなりたいと思うとつい速い練習、細かい音符を練習してしまいませんか?
 決して間違った練習ではありませんが、同じ1回の練習をするのなら
 「素早い1回」の練習を沢山した方が良い結果が得られると思いませんか?


 このことは「タンギング」のことだけに焦点を合わせているから、舌を速く動かしたいと思ってしまうのです。

 曲を演奏するということ・自分を表現することを考えると「タンギング」だけではなく「レガート」に表現することが必要になります。
 レベルの高い「レガート」演奏には、切れの良い(なめらかな)「タンギング」が必要なのです。
 「スラー」で演奏することよりも、タンギングを使ってレガートに演奏できることなのです。

 「テンポ」に対応して演奏できるためには「タンギング」の取得が不可欠です。
 一音一音を素早く繋いでゆくレガートが出来ることに情熱を傾けてください。
 舌の素早い1回の「タンギング」の向上は、あなたの描く・イメージする音楽表現を実現してくれるでしょう。


4:抑揚

 ここでの抑揚とは「強弱=強い・弱い」=「アクセント」ということで、
 前項2:での「強弱=大きい・小さい」とは全く違うことです。
 誤解のないように正しく理解しておきましょう。

 なぜ抑揚表現が必要かと言うと、音符全ては平等・意味を持っているので、
 その一つ一つの音を同じに演奏できるようになるためです。

 同じに演奏できるようになると、それぞれの音に自由に抑揚をつけることができるようになります。
 そうすることで表現力が豊かになるのです。

 
 私たちはリズムを取るために表拍(8分音符2個並ぶとして)が強くなりがちです、
 2つの音を平等に演奏できるためには、最初に裏拍を表拍と同様に強く演奏できることを身につけることなのです。
 裏拍が強く演奏できることにより表・裏拍が平等になり、自由に強弱をコントロールできることになるのです。
 
 抑揚「強弱=強い・弱い」を自由にコントロールできると、感情表現がとても豊かになります。
 繊細にイメージを表現できる力として、「納得できる音・音楽」としての表現力向上に結びつけていけるでしょう。
 

効果的練習:
 練習は、「ソ」と「ラ」の2つの音を使います。
 「ソ」の音を「p=ピアノ」で出し「ラ」の音を「f=フォルテ」で出します。
 「ソ」の音を基準として弱く出せる・演奏できることが基本・重要です。
 弱い音を出そうとすることではなくて、弱い音を基準にして演奏できることが重要なので、
 強い「ラ」の音を出しても弱い「ソ」の音に戻れる感覚を掴むまで繰り返し練習します。
 弱い「ソ」から「ラ」に行って元の「ソ」に戻れる感覚です。

 この練習、始めのうちは自分では、しっかり・はっきりと抑揚をつけて表現していると思っていても、
 実際には「抑揚の差」が思ったほど表現できていないものです。

 「外の耳」=「外で聴こえる耳」=「耳ヂカラ」でしっかり・はっきりと抑揚が聴き取れることを確認して、
 「納得できる音・音楽」を身につけるために練習してください。

5:リズム感

 手拍子2つのパターン

1:左手はお腹の前で固定します。
  動かす右手を言葉に合わせて、手拍子を打ちますが、打って右手を左手に止めておく取り方です。
  左手に止めた右手は、できるだけ時間を長く感じて止めておけることが重要です。
  リズム感として、一拍という時間を長く感じることができるようにしましょう。
  そして、次の母音を歌う直前に右手を目の高さまで上下動させて、また左手まで下ろして手拍子を打ち、
  また手を合わせた状態で止めておく打ち方です。 

2:左手はお腹の前で固定します。
  動かす右手を言葉に合わせて、手拍子左手で打った後、目の高さに止めておく取り方です。
  できるだけ手と手が離れている時間が長くできるようにして、
  次の母音を歌う時左手まで下げて手拍子を打ちます、すぐに目の高さに戻って止めておく打ち方です。

 リズム感を良くしていくためには、1・2共に一拍の長さを長く感じることが必要です。
 そのためには手を止めている時間を長くできることが重要です。

 何故手を止めている時間を長く感じることが重要なのかと言えば、手の位置が1・2・と違いはありますが、
 一拍という「時間の長さ」の中に自分自身の密度の濃いイメージをたくさん込めることができるからなのです。
 
 この一拍と言う時間の中に自分のイメージを密度濃く・深く込めることのできる音楽家の演奏は、
 同じ曲・同じテンポの演奏であっても、「ゆっくり・ゆったり」聴こえてくることになるのです。


 一拍を長く感じることのできる「リズム感」を持てることは「耳ヂカラ」を一層確かなスキルとして、
 演奏において自分の想い・イメージを密度の濃い・内容に深みと説得力を持った「音」として
 しっかりと表現できることに結びつくのです。

 リズム感で大切なことは、「一拍を長く感じる」ことなのです、
 「耳ヂカラ」=「納得できる音・音楽」を身につけるために、トレーニングしてみましょう。
 




→ 第5章  音と体=日々のトレーニング、楽器を持たずに

← 第3章  「耳ヂカラ」を身につける日々のトレーニング

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